この記事は1998年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

バックミラー

英語は友達をつくる楽しい道具!!

牛草 俊秀(西部営業基地)

 

 

 10数年の昔、当社に「ガイドタクシー」というのが設けられた。外国のお客さまにも安心してご利用いただけるタクシーのことで、英会話に通じたドライバーを社内で募ることになった。もともと英語が好きで、若いころはラジオ講座や英米のニュース放送を毎日のように聞いていたのだが、当時は忙しさにかまけて不勉強もいいところ。で、勉強をやり直し、英検の準一級を取得して、これならとガイドタクシーのハンドルを握ったのである。

 バブル経済の走りのころで、異国からの旅行者も目立って増えていた。日本語に自信がないお客さまがほとんどだから、たいていは行く先のホテル名を告げたきり、心細そうに車外の風景を眺めている。それだけに英語が通じると分かったときの喜びようといったらなかった。目を輝かせ、身を乗り出して話しかけてくる。名古屋空港からホテルまでのはずが、つい盛り上がって、京都や伊勢・鳥羽への観光ガイドまで引き受けたこともしばしばだった。

 びっくりしたことがある。ホテルから指名があったので伺ったところ、お客さまは初対面のアメリカ人。不思議に思っていると、なんと数年前にご利用いただいた方の同僚だった。名古屋へ行ったら、タクシーはぜひ私にと、推薦があったそうだ。マレーシア人の社長をお乗せしたときも同様で、それ以来「社長命令」だといって、社員の方が来名のたぴ指名してくださるのである。これほどドライバー冥利を感じたこともないし、英会話の有り難みを感じたこともなかった。

 また車内コミュニケーションが高じて、とうとう友達付き合いにまで発展したケースもあった。アメリカのテキサスからやってきた航空会社の常駐員で、お互い家族ぐるみで行き来する間柄になっている。つくづく英語というのは、心をオープンにしてくれる言語だなあと思うしかない。

 もちろん日本語だって同じなのだが、日本語ほど得手じやない分、よりストレートに話すせいかもしれない。いずれにせよ、英会話のおかげで積極性が身についたとはいえそうだ。この積極性をさまざまなお客さまに活かせればと思うのである。といって買物帰りのお年寄りに「サンキュー」では、ちょっとまずいかもしれないが。