この記事は1998年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

東西タクシー事情

 

 

河合良泰さん

【台 湾】

世界一のタクシー密度

 

 その昔、ポルトガルの船員が「フェルモサ(美しい島)」と呼んだ台湾。日本と正式な国交関係はありませんが、年間約90万人の日本人がビジネスや観光で訪れています。観光では台北および近郊を訪れる人が8割強で、人気スポットは故宮博物院、正中記念堂、古刹・籠山寺、華西街夜市などです。地方にも素晴らしい観光地があり、大理石の大峡谷が20キロも続く太魯閣(タロコ)国家公園と天然の湖で夕日が美しい日月潭が特に有名です。

 台湾ではタクシーのことを「計程車」「出租汽車」と呼び、「TAXI」と表示した車も多く、車体の色はほとんど黄色で大変目立ちます。

 首都、台北市の人口は約280万人。交通局の話では、市内に約4万台のタクシーがあり、さらに周辺の台北県、基隆市、桃園県のタクシー約1万台が台北で営業できるため、推定約5万台のタクシーが走っています。「台北の道は黄色い」とか「台北は世界一のタクシー密度(人口56人に1台)」といわれるわけです。

 台北では駅、一部のホテルやデパートにタクシー乗り場がありますが、待機している車は少なく、流しの車を利用します。日中なら1、2分、夜間でも10分くらいで拾えます。屋上灯が点滅していれば空車で、手を上げて止めます。朝夕のラッシュや週末、雨の日は空車が少なく、乗車拒否される場合があります。

 日本語も英語もほとんど通じませんから、筆談か地図に印をつけて渡します。

 車種はさまざまで、日本車の割合が高く、ベンツやBMWなどの高級車はありません。ここ2、3年で新車が増え、ほとんどエアコン装備です。

 料金は台北、高雄、台中などの大都市はメーター制ですが、地方都市ではほとんど交渉制となります。台北市内では初乗りが1.65キロで65元(約260円)。追加料金は350bごとに5元。時速5キロ以下は3分ごとに5元です。夜間は約2割増し。台北中心部から中正国際空港まで、渋滞していなければ1200元前後です。

 売り上げが低下気味のため、無線の配備、領収書の発行などサービス向上が進められていますが、台北で治安の悪い地区があり@夜間、女性1人での乗車はしないA走り出したらメーターの作動を確認するBライセンスカード(顔写真、人名)を確認するC乗降は必ず右ドアから(台湾は右側通行)、などを注意するといいと思います。