この記事は1998年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

とらばーゆ人

調律師時代に養った土地カンは今も健在

鈴木崇士さん(南第二営業基地)

 

 

  「毎日が新鮮で楽しいんです」と語るのは、今年二月に入社したばかりの新人営業係(乗務員)・鈴木崇士さん(42)。前職はピアノ調律師です。

  中学・高校と吹奏学部でクラリネットを吹き、卒業と同時に調律師養成所へ。「音楽に関係した仕事がしたかったんですね」。五年間、整音・整調・修理の技術を学び、以来この道一筋でした。 

「時々、お客様に前職を聞かれ、もったいないねぇといわれます(笑)」。しかし「ピアノはあっても、子供
が大きくなると勉強が忙しくて弾かなくなるでしょう。そうすると調律にも関心がなくなってしまうんですね」
と鈴木さん。とくにバブルがはじけてからはその傾向が強く、かくしてピアノはリビングのインテリアに…。仕事が激減してしまったのだそうです。 

「でも運転士という仕事も僕の性に合っていると思うんですよ」

 調律師時代も個人宅から個人宅への移動で、仕事の半分はドライバーのようなもの。しかもその時に養ったカンなのか「一度お送りしたお宅はまず覚えている」という特技もあって、前職のエリアだった知多・三河なら、ほとんどの場所が分かるといいます。

 ただし名古屋市内は目下勉強中。暇を見つけては、今日は名東区、明日は千種区と走り回り、地理の勉強です。無線から聞こえてくるいろいろな地名も、取り敢えず自分には関係なくても、頭の中で場所を確認。分からなければ上司・同僚に教えてもらっています。

 その上、誰とでも垣根を作らず、ザックバランに話せる陽気な性格。普通ならムッとくるような出来事でさえ、楽しい話に変えてしまいます。鈴木さんは、そんな性格のご自分を「(明石家)さんまさんのよう」といいますが、さわやかな話し方や根の真面目さ、印象からすると、春風亭小朝さんのイメージでもあります。

 そして、名タクに入社する以前から「乗るなら名タクと決めていた」という鈴木さん。「やはり信頼感が違います。これは先輩たちが築き上げてくれた財産ですから、僕もそれを受け継いで、信頼される運転士を目指したいと思っています」と語ってくれました。