この記事は1999年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 
ジャンボタクシーで行く

ジャンボ1日ドライブ!

 

初夏の湖岸に城巡り、
城下町を殿様気分で
そぞろ歩き、
地ビールに舌づつみ。



 
 

 陽光に踊る緑、爽やかな風。初夏のドライブは自然をたっぷり浴びて―。そこで今回は、琵琶湖畔の彦根から長浜へと巡るコース。彦根城の広大な庭園に圧倒され、長浜城下町の活気に酔いしれながら、帰りは運転手つきのジャンボタクシーで楽々でした。
 
湖畔の古城で00
伝統と緑にふれる

  彦根の観光のポイントは、やっぱり彦根城。金亀(こんき)城ともいわれ、井伊家の居城として完成したのが1622(元和8)年と、歴史で習いました。気の遠くなるような昔です。

 その彦根城までは、名神高速道路の彦根I・Cから約10分。広い敷地には城、博物館、玄宮園、埋木舎(うもれぎのや)、馬屋・・・と見どころが多く、全部回ると半日コース。今回は天守閣と玄宮園にポイントを絞って、表門からいざ登城。

 樹木からこぼれる光を浴びて長い石段をフウフウ登り、息切れ寸前に天守閣に到着。真っ白の壁と黒々した屋根瓦は、平成8年に改修を終えたばかり。いくつもの様式を組み合わせた技巧に富む屋根、花頭窓と呼ばれる窓などが、大きな特徴です、とパンフレットにあります。

 外観の新しさとは正反対に、内部は昔のままの木造り。これでなくちゃ、とギシギシ鳴る廊下を回り、すり減った階段をよじ登ると、パッと視界が開けます。彦根市街から琵琶湖までぐるり360度。「民の竈(かまど)は・・・」とすっかり殿様気分。

 お堀端の桜の木の下をまたひとしきり散策すると、名園で名高い玄宮園。池や石の配置は近江八景を模したそうで、琵琶湖のコンパクト版というところ。井伊家ってお金持ちだったんですね、と改めて思う規模の大きさです。当時、お客さまをもてなしたという鳳翔台では、抹茶の接待も。湖面に羽を伸ばす白鳥は、何百年も生きているような錯覚を覚えました。

 石垣を抜けて町へ入ると、白壁に黒い紅殻格子の町家がずらり。城下町の起点にあたる商店街、「夢京橋キャッスルロード」と名付けられています。道路拡張とともに10年がかりでリフレッシュして、98年夏に完成したものとか。中を覗(のぞ)くと休憩室、ブティック、お菓子屋・・・。

 その一角にあるのが「夢あかり館」。彦根の伝統産業、和ろうそくを中心にした展示館で、販売はもちろん、キャンドル作りを体験するコーナーも。伝統技を披露する職人の横で、今風ギャル3人がオリジナルキャンドル作りに挑戦中でした。


 

 
地ビールと湖国料理で
長浜の味を堪能

 彦根から国道8号を北進すると、約20分で長浜へ。豊臣秀吉が初めて自分の居城として築いた長浜城。城そのものは豊臣家滅亡とともに壊され、“兵どもが夢の跡”に。今のピカピカの城は、昭和58年の再建。別名「長浜城歴史博物館」として、市の歴史を紹介しています。すぐ近くには、日本最古の駅舎といわれる旧長浜駅舎鉄道資料館も。

 歴史をたっぷり吸い込んで、次に目指すのは北国街道を中心とする城下町、いわゆる黒壁スクエア。その前に腹ごしらえをと選んだのが、スクエアの入口あたりにあるブルワリー・レストラン「長濱浪漫ビール」です。

 明治時代の米蔵を改造したという店内に入って、まずは乾いたノドに地ビールをごくり。芯の通ったうまさに感激、エール、ピルスナー、バイツエン・・・と次々賞味。壁を見ると、96年の週刊現代の全国地ビール試飲会でこのエールが3位に入った、という記事があり、納得。伊吹山の手作りソーセージはじめ地元の素材を活かした料理は、どれも大満足の味でした。

 
小粋な店が並ぶ城下町

黒壁スクエア

 黒壁スクエアは、黒壁ガラス館を中心に縦横に広がる街の総称。ガラス街道の別称もあり、ガラスアートの店の宝庫です。こちらは彦根と違って作りたてでない、昔のままの白壁と紅殻格子の家並みが続き、城下町の雰囲気はたっぷり。通りは観光客に溢れ、別空間に迷い込んだよう。

 黒壁ガラス館は明治時代の銀行を改造した店で、洋の東西を問わずガラス製品がぎっしり。他にも手作り体験のできるガラス工房、ヨーロッパガラス芸術の流れを展示する黒壁ガラス鑑賞館、また雑貨店やグッズギャラリーなどがスクエアのあちこちに。その間を縫って郷土料理や名菓の店、おしゃれなカフェテラスなど、小粋な店がずらり並んでいます。

 通りの一角、西日本一の規模という長浜オルゴール堂には、珍しいオルゴールが数えきれないほど並び、子供も大人も飽きさせることがありません。

 秀吉は長浜の経済力を高めるため、ここを楽市楽座の町にしたとか。それ以来、進取の気性に富む町として発展したそうです。伝統は時間軸。新しさへのパワーは、空間軸。この二つが見事に調和した魅力ある町でした。

 帰りの車内は、お土産に買ったオルゴールの優しい響きとともに、スヤスヤ・・・。


 
 


 

 
●今回のコース

 名神高速道路の彦根インターを下り、彦根市内へ。駐車して彦根城、城下町を回ったあと、国道8号を北へ直進、長浜へ。こちらも市営駐車場に駐車して、長浜城、黒壁スクウェアと歩くのがお勧め。全行程240キロ。ジャンボタクシーはおおよそ1時間あたり7100円。また「小型貸切バス」もございますので、御気軽にお問い合わせください。
 
 

貸切バス・ジャンボタクシー 052(331)4888
 

●彦根城

 午前8時半〜午後5時。年中無休。入場料は大人500円。商人00.玄宮園とも共通。
 
рO749・22・2742

●城下町夢あかり館

 午前9時半〜午後5時半。火曜休み。2階ギャラリーへは入場料大人200円、小人100円が必要。ろう細工手作り体験は600円から。

рO749・27・5501

●長島浪漫ビール

 午前11時〜午後11時。地ビール550円から、ソーセージ盛り合わせ1200円、ピザ1000円ほかメニュー約50種類。

рO749・63・4300

●黒壁ガラス館

 午前10時〜午後6時、年中無休。

рO749・65・2330

●びわ湖長浜オルゴール堂

 午前9時半〜午前6時半、年中無休。

рO749・65・5678