この記事は2000年3月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

名タク招待席

 

名タクの社会奉仕

課長補佐
安全とサービスの二人三脚

営業基地の管理職のなかで、扇の要といえるのが課長補佐。今回はその奮闘ぶりをご紹介しましょう。

 出勤は早朝5時。支配人から課長まで管理職の顔が一気に揃い、乗務員もぼつぼつと。24時間で眠ることのない基地にも朝の活気が訪れます。

 乗務員は身支度を済ませ、課長補佐の前へ。一対一の個別点呼です。このシステムは名タクの特徴。大きなタクシー会社のほとんどは、集団点呼を行っているようですから。「おはよう、○○さん!」。課長補佐は声を掛けながら、乗務員の健康状態をチェックします。安全にハンドルを握るためには、健康であることが不可欠だからです。さらに身だしなみも厳しく点検。髪は伸びていないか、お客さまに不快感を与えないか。

 一通りチェックが終わると、今日の伝達事項です。天気がいいので、子供の飛び出しに注意を。お降りのときはお忘れ物確認を。お迎えのときにはドア・サービスを・・・。

 締めくくりは「安全運転の誓い」です。「私は今日一日、無事故無災害の信念で安全運転に務めます」と書かれた書面に乗務員がサインし、読み上げるのです。

 安全で快適な運転への意思統一はこれで終了。乗務員は日報を持って。車の安全点検をしてから、「行ってらっしゃい!」と送り出されます。

ここで営業基地についてちょっとご説明しましょう。名タクには北、西、中川、南1、南2と5カ所の営業基地があります。各基地は課別に構成され、一つの課には課長1人、課長補佐2人、乗務補佐1人の管理者がいます。その下には係長を含めて乗務員が170〜180人。1人の課長補佐が朝、個別点呼をして送り出す乗務員は、約80人にものぼります。

 そして「送り出した乗務員は無事帰ってくるまで責任をもつ」という考えから、勤務は乗務員と同じ朝から翌朝まで。「安全でサービスのいい名タク」であるために、乗務員と二人三脚するのが課長補佐の役目なのです。

 深夜3時ごろ。乗務員が1日の勤務を終えて基地に帰ると、課長補佐の笑顔が待っています。補佐は一人ずつ日報をチェックしながら、ときには厳しい一言も。

 口に苦い良薬は、明日の糧(かて)。反省をステップに次への跳躍を誓って、乗務員は帰途につきます。

西部基地の近藤誠一さん(53)は課長補佐になって6年目。名鉄交通勤務27年のベテランで、現職に就くまでは優良ドライバーでした。乗務員の苦労も喜びも、手に取るように分かります。だからこそ、「送り出すときは、とにかく気持ち良く出発できるように、いいところを褒め、励ますようにしています」。こういう配慮はお客さまへの応対にも、いい影響を与えることでしょう。

 乗務員が町を葉しいている間に、課長補佐は出勤状況をコンピュータに入力し、翌日の日報づくりをし・・・。チェスのように乗務員というコマを配置するのもその任務です。また空いた時間や非番の日には、病欠の乗務員を見舞ったり、プライベートな会に顔を出したり。人間的な触れ合いを深めながら、いい仕事ができる土壌を整えていきます。

 上司でありながら、父や兄であり、また先輩でもあり−−。基地の要として、課長補佐は大きな役割を担っています。