この記事は2000年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

趣味人

短歌のネタを探して、街を流す!?

大野泰嗣さん(南第1基地)

 名タクに入社して3年5カ月。営業係(乗務員)、大野泰嗣さん(53)の趣味は短歌づくりです。

 ご本人は「我流」「駄作」「俳人ならぬ廃人」と謙遜しますが、どの作品も情況が目に浮かんで、クスッと笑えるものばかり。短歌を始めたきっかけもユニークです。

 名タクでは助手席の背もたれに、営業係の自己紹介プレートをかけています。写真と名前、そして趣味欄には釣り、写真、囲碁、将棋、ゴルフ、グルメ…。各人が思い思いの趣味を掲載しています。

 大野さんの趣味はパソコン。パソコンが「マイコン」と呼ばれていた頃から始め、もう23年ほど続いています。

 「半年ほど前、同僚と話していて、ふと気がついたんですが、趣味といっても、熱の入れ方は人それぞれですよね。それで冗談半分に思いついたことをメモしておいたんです」。

 たとえば、孫とするハサミ将棋もやはり趣味「将棋」。月1回の打ちっぱなしがせいぜいでも、趣味は「ゴルフ」といいたいよね。趣味「柔道」は強盗除けのおまじない…という具合。

 ある時、これを「短歌にまとめてみよう」と思い立ち、始めてみたら「うまい具合に言葉が落ち着いて」。意気揚揚と娘さんに作品をメールで送ったところ、返事は「ほんと、ヒマ人ね」。この辛口に発奮し、気がついたら1000もの作品ができていたそうです。先頃は、それをまとめて手作りの作品集にもしました。

 題材は、ほとんどが家庭内の出来事か、仕事中に見たり聞いたり、出会ったこと。フレーズがひらめくとメモを取り、家でパソコンに打ち込みます。

 「時々はお客様と会話していて、ひらめいたことを披露することもありますが、やっぱりウケていただくと嬉しいですね」。大野さんは暗い話はテーマにしません。

 「今は何でも面白がってテーマにしていますが、いずれネタがきれる時が来ると思います。そうなる前に作品を2000揃えて“2000バージョンアップU”といった作品集を作りたいですね」。

 大野さんは取材中もシャレを連発。その明るさが作品にも出ているようです。

川柳を 考えながら 客逃し 次に乗せたのは 2時間後

無線指示 「着かれましたら 再送信」 「疲れました」と即・応答し

久しぶり 手紙が来てると 喜べば 携帯電話の 督促状か

趣味ゴルフ 行く訳無いよ 金がなく ゴロリとテレビ 今日も観戦