この記事は2001年3月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

小型貸切バス&ジャンボタクシーで行く

ジャンボ1日ドライブ!

潮風に揺れるヤシの葉、菜の花畑。南国ムード漂う渥美半島で一足早い春を愉しむ。
名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実一つ…。今も愛唱される島崎藤村の「椰子の実」の舞台・伊良湖岬は見どころいっぱい。一面のお花畑、白い灯台、日差しがきらめく恋路ケ浜。散策のあとは名物・大アサリで舌も満足。仲間と盛り上がるジャンボタクシーなら、旅の印象もまた格別です。割引券を手にフラワーパークへ
割引券を手にフラワーパークへ

 東名高速豊川インターから国道151号線、23号線、259号線を走り、半島の玄関口・田原町へ。複雑なようですが実際は単純ルート、標識に沿って迷うことなく伊良湖へと向かえます。

 田原町から伊良湖岬まではわずか45分。そこでちょいと道草をと、道の駅田原「めっくんはうす」へ立ち寄りました。ここは渥美半島の観光と産業の情報ステーション。野菜、海産物の特売もうれしいけれど、一番の収穫はフラワーパーク、やしの実博物館などの入場割引券(約4割引!)がもらえたこと。渥美のドライブならぜひ立ち寄りをお勧めします。

 その恩恵を味わおうと、岬のフラワーパークへ。三河湾側から半島横断、今度は遠州灘の海岸線(国道42号線)です。パークゲートをくぐると、ヤシ、パパイヤ、マンゴーが生い茂る大温室、続いて大輪のベゴニア館。約6万平方・の園内の4分の1は大花壇で、四季を通じて花散歩が楽しめる寸法。これから4月にかけてはパンジー、ポピー、チューリ`ップなどが咲き誇り、花摘み(これが同園の人気企画)に訪れる人であふれるとか。

 もう1カ所、岬に程近い中腹のリゾート施設「渥美花の村」も緑がいっぱい、時間があればぜひ。



奇岩を眺め、ヤシの実のロマンを味わう

 伊良湖のもう一つの見どころといえば、太平洋の波にかたどられた造形美。フラワーパークから車でほんの5分の「日出(ひい)の石門」がその代表格です。波に侵食された岩がさながら一対の門に見えるところ。海に浮かぶ沖の石門は無理ですが、岸の石門のほうはぽっかり空いた穴をくぐることもできる。この穴から眺める遠州灘は迫力に満ちているのですが、この季節にはお勧めできません。波をかぶって風邪を引いてしまいますから。

 石門の後方の丘に建つのが島崎藤村の「椰子の実」の記念碑。隣には大きなヤシの木があって、これはヤシの実を放流した記念樹。今でも放流は盛んだそうで、石垣島を「遠き島」に見たて、そこからヤシの実を放流。一昨年の放流では、1780キロ離れた小笠原列島の新島にも漂着したそうです。「故郷の岸をはなれて汝はそも波に幾月」。昔も今もヤシの実ロマンは色あせませんね。



名物大アサリを堪能し、フェリーで知多半島へ

 ヤシの並木と菜の花が揺れる道路を10分も行けば、もう伊良湖岬。昼食はその名もロマンティックな恋路ケ浜で。駐車場前にずらりと並んだどこの店先からも、名物大アサリの炭火焼の香ばしい匂いが。迷ったあげく今回は「伊良湖亭」で大アサリ定食を。

 食べ応えのある大粒の焼きアサリ、それに珍しい大アサリのフライ、海草の小鉢。アツアツを潮の香りと一緒にビールでグイ。運転無用のジャンボタクシーの醍醐味ですね。

 腹ごなしには恋路ケ浜の散策がうってつけ。ゆるく弧を描く白い砂浜沿いに岬を目指せば、ほどなく白い伊良湖灯台。昭和4年に点灯された岬のシンボルは、今も名古屋港や四日市港、三河港に出入りする船舶の指標として活躍しています。

 その灯台の向こう側は鳥羽や師崎行きのフェリー乗り場。旅客ターミナルは「道の駅・伊良湖クリスタルポルト」で、その1階には全国初の「やしの実博物館」が。100種類の珍しいヤシの実を中心に、渥美の歴史や自然が紹介されています。

 もとはといえば明治31年、民俗学者の柳田国男がこの岬でヤシの実を拾い、その話を島崎藤村に伝えたのが名作「椰子の実」に結実したもの。それが博物館にまで発展するとは、柳田博士も予想外だったことでしょうね。 帰路はフェリーで知多半島の師崎へ。船上から見る伊良湖の空は初夏のような青さ。やしの実博物館で知った芭蕉の弟子・杜国の「春ながら名古屋にも似ぬ空の色」の俳句そのものの風景でした。





●今回のコース

東名高速豊川インターから国道151号(途中小坂井バイパス、豊川橋は有料)、国道23号、259号へ。田原町を経て保美の信号を左折、半島を横断して国道42号沿いに伊良湖岬へ。帰路は名鉄海上観光船のフェリーで師崎、豊丘インターから知多有料道路。全行程200キロ。ジャンボタクシーはおおよそ1時間当たり7100円。また小型貸切バスも用意されているので、お気軽にお問い合わせを。TEL052・331・4888(直通)人気。0598・21・5532(代)