この記事は2002年9月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

東西タクシー事情

個人タクシー経営
Osamu Shimizu
【スウェーデン王国
ストックホルム】

お客さまは助手席に。ボルボの新車で観光地巡りをぜひ。


 ストックホルムはスカンジナビア半島のバルト海岸に面した港町。入り江と湖水に囲まれているので「北欧のベネチア」と呼ばれています。

 人口は80万前後、気候も穏やか。1255年に創建された古い都市ですが、何世紀にもわたり人間環境をテーマに都市計画が進められただけに、パリやロンドンとは違った、心から落ち着ける雰囲気が漂っています。

 中心街はメーラレン湖の南西の端にある小島。王宮や中世の教会がそびえ、ノーベル賞授賞式の行われる音楽堂や大学が点在します。市民の足といえば地下鉄、バス、郊外電車ですが、もちろんタクシーも主役の一つ。

 とくにビジネスマンやお年寄りの利用が目立ちますが、外国人観光客にとっても重宝な乗り物ですね。

 基本的に流しはありませんが、空港や港のターミナル、ホテル、デパート、駅など主だったポイントには必ずタクシー乗り場がありますからご心配なく。 タクシーはボルボやベンツの新車がほとんどで乗り心地は申し分なし。ただし注意すべきは、料金がタクシー会社によって自由設定という点でしょう。

 たとえば空港から市内まで約45キロを一律350SEK(クローネ、約4390円)に設定しているタクシーもあれば、その倍近くも請求するタクシーもあるわけです。もっともこれは車両にちゃんと表示されていますから、しっかり選べば大丈夫。

 それにお客の人数が増えるごとに料金が上がること、また平日や金・土曜日の時間帯によって割増料金が加算されることも日本とはちがいますね。もう一つ、一人で乗る場合は、後部座席ではなく、何と助手席がお客さまシート。慣れないとちょっと落ち着かないかもしれません。

 これは実際の体験ですが、あるとき妙齢の女性が助手席に乗り込みました。ところが渋滞の道路に差し掛かったとき、とたんにそわそわ。彼女によれば、渋滞恐怖症だそうで「不安をまぎらすために手を握ってほしい」と、渋滞の間、私(ドライバー)の手を握っていました。

 こちらも照れてしまいますが、渋滞に不安を感じるほど、ストックホルムの環境は素晴らしいということでしょう。

 20時間も太陽が照る夏は森の中や湖畔で日光浴。また午後2時半には日が落ちてしまう12月。独特な自然が中世の町並みと溶け込み、あわただしい都会とは別世界が広がっています。ぜひ一度、訪れてみてください。

●ストックホルムのタクシー料金
タクシー会社により自由設定。一般的な初乗りは32SEK(1SEKは約12・54円)。9時から午後3時は普通料金だが、金・土曜日の午後11時から午前5時は超割増料金。空港から市内まで350SEK、市内から空港へは550SEKほど。料金の端数を切り上げてチップとする。