この記事は1999年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 
とらばーゆ人

介護タクシーを目指す気配り満点の元バスガイド
 

松本征子さん(西部営業基地)
 
 平成10年9月に名タクに入社。毎日はつらつと仕事に取り組んでいる営業係(乗務員)の松本征子さんは、若い頃から車が大好き。高校卒業時には、出荷する新車を工場から港へ運ぶ陸送の仕事を希望しましたが、「当時は女性の陸送係は採用しなかったんです」。

 それで選んだのがバスガイド。以来30数年、ガイド一筋で、日本全国ほとんどの土地をまわったといいます。マイク片手の名調子は今も健在で、地名を聞けばセリフがばっと浮かんできます。

 「でも50代に入った頃から、だんだん声が低くなって。低い声ではマイクを通すときれいに聞こえないし、歌もうまく歌えないんです」。会社は大ベテランの松本さんを強く引き止めたそうですが、「プロである以上、最高の仕事ができなくなったら、それが潮時だと思いました」と松本さん。スポーツ選手と同じように、一流のプロは引き際は自分が一番よく知っているということなのでしょう。

 「本当はこれで専業主婦になってもよかったんですが、自分で車を運転するというのが魅力で」名タクヘ。

 折しも名タクでは、今春から小型貸し切りバスの営業も始めたところ。営業開始に先立つ試乗旅行では、本社のたっての希望でガイド役を務め、お客さまを乗せての記念すべきバス旅行第一号でも、ガイド役に白羽の矢が立ちました。

 「私でお役に立つことなら、ガイドの養成などのお手伝いはさせていただきたいと思います」という松本さんですが、松本さんには実はもう一つやりたいことがあるのです。

 それが介護タクシー。「お年寄りや体の不由由な方の送迎やお買い物など、日常的なことはもちろんですが、桜が咲いたから見に行きましょうとか、新緑を楽しみに出かけましょうとか、もっと気軽に外出するお手伝いがしたいんです」。

 こう思ったのも、ガイド時代、バスに乗り合わせた障がい者の方が旅に出て、本当に楽しそうにしていた姿が目に焼きついて離れないから。「できれは介護福祉士の資格を取って、きめ細かなお手伝いができるようになりたい」と、夢は今、大きく膨らんでいるようでした。