この記事は2000年6月のものです。現在の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

 

東西タクシー事情  


南京古南都飯店
(南京グランドホテル)
支配人 松島 弘和さん

 

【中国・南京市】

人と自転車の群れを縫う、悠久の地のタクシー利用術


▲江蘇省の省都であり、政治・文化の中心地南京市内を走るタクシー
  南京は東シナ海に面した上海から300キロ内陸の、長江(揚子江)流域の都市。人口約530万人の省都、つまり日本の県庁所在地ですね。中国内でも経済的に豊かなところで、観光やビジネスで訪れる日本人も少なくありません。

 市民の手軽な交通手段は、おなじみの自転車やバス。でもタクシー(出租車といいますが)だって随分気軽に利用されています。雨の日や朝夕のラッシュ時はちょっと根気が要りますが、それ以外なら問題なし。手を挙げるだけで止まってくれます。ただし、繁華街では停車禁止区域があるので、要注意ですけれど。

 タクシーは市内に約8000台。つい最近までは日本車のシャレードのライセンス生産車が圧倒的でした。けれど今では市民の生活が豊になって、より快適なタクシーを求める声が高まっています。2年後にはシトロエンやワーゲン(もちろん国内ライセンス生産車)にとって代わるとか。

 このタクシー、ほとんどが会社に属しているのですが、その会社は専業とは限りません。さまざまな企業が業種の一つとしてタクシー部門を抱えています。そしてここが日本と違うところですが、契約したドライバーに車両を割賦販売し、運賃収入から月々返済してもらう仕組みをとっています。だから勤務時間は無制限。走れば走るほどドライバーの収入は増えるわけですね。町を走るタクシーに会社名は表示されているものの、実態は各人の個人経営という感覚でしょうか。

 さて気になる料金ですが、初乗り3キロまでが7元(約100円)、以後1キロごとに2・4元が加算されます。メーター制でチップも無用ですから安心ですが、中には利潤追求に大変熱心なタクシーもいるのでご用心を。とくに空港や駅などで「ニーハオ」なんて声をかけてくるドライバーには要注意。お急ぎでも列に並んで正式な乗り場から乗ることをおすすめします。

 最後にドライバー氏のサービスについて一言。車が急増する南京とはいえ、主役はやっぱり人間と自転車。歩行者は信号無視でところかまわず道路を横断するし、車は車で、横断歩道では決して止まらないし、自転車は悠々と車道のど真ん中を走っているし。

 日本から来たばかりのお客さまは冷汗ものかもしれません。でもこれも悠久の中国の一つの姿。郷に従う精神で、独特の文化を味わってください。